2019/04/29 07:16

イラク。今は亡きサダム・フセインが牛耳っていた国であり、近年、特にイラク戦争後は、治安悪化による耳障りの良くないニュースばかりが入ってくるようになってしまった国。そんな国イラクにまつわるパーカー。


DANKEMANのトップには「ヨーロッパからのレアモノ古着」などという看板を掲げてはいますが、まあ古着屋を何度も渉猟してますと、ほんとにどこから流れてきたんだよこれ、というものにも出会うことがあります。で、これがその一つ。

勉強になる古着。啓蒙的古着、とでも申しましょうか、わけ分からないけどわけ分からないが故に興味が出てきて、結果知識が増える、という古着をどんどん紹介していきたいと思っております。


(表、胸のプリント)

私が主戦場としている古着屋は、住んでる街とよく訪れる街にあるところ全部合わせて20件くらいでしょうか、大体西ヨーロッパ、北欧からの古着からの古着がほとんどです。

Tシャツにプリントされている組織やURLのトップレベルドメイン、そしてブランドからも大体国は特定できます。ここは北欧系、UK系、ドイツ系、といった具合で。

回転が悪い店の場合、売れ残りとかでけっこう混ざっているときがあるのですが、それでも各店によって傾向があります。仕入先によって調達地も色々あるのでしょう。

品物の回転が悪い店ってのは、大体店員がスマホをいじっている or ずっと電話してて、もっと悪いときは知り合い(客ではない)とエンドレスでだべっている店。そんで陳列とかもめちゃくちゃ。まあ、そういうとこにもけっこう面白いものがあったりするので侮れないわけですが。

日本のちょっと高価格帯の服屋などははいって2分くらいで店員が寄ってきて色々言ってきてウザくて、ほっとけよ、と思うんですがまあ彼らはそれが仕事ですからね。そういう感じからすると、私なぞは1000%こっちでは外人ですし、天賦の非社交的なオーラを発してますんで話しかけてくる人はほとんどいなくて気楽で良いです。店員さんは金を払うときにレジにいてくれりゃいいですよね。

こちら(ポーランド)の古着屋ってのは、日本と違って中年女性が主な購買層で、子供服なんかもけっこう売ってます。区画の割合としては、女性もの6:男もの2~3:こども服1~2ってところです。っていうか、こんな情報誰が喜ぶんでしょうか。

と、そんな感じの古着屋たちですが、イラクのものってのは非常に珍しく、ほとんどお目にかかれません。おそらく、イギリスがイラク戦争の際派兵したときの関係で、いろいろあって流れてきたのではないかと推測されます。

BASEってのは私の勝手なイメージですが、「お肌にやさしいリネン素材のタンクトップ」とか、「お部屋に自然でハイセンスなアクセント、アロエ鉢植え」みたいなものが人気が出そうな感じの雰囲気でやってらっしゃいますので、イラクからの古着、なんて扱ってるのはまあうちくらいなものではないでしょうか。これじゃーフォロー数なんて増えるわけがありませんなあ。レアモノだからって、こんな不穏なレアモノはBASEで働く皆様のお眼鏡に適うはずはありません。


(裏側のプリント)
タージってのは、イラクの首都バグダッドから北へ30キロ弱に位置する、まあ簡単に言うとアメリカ軍の軍事拠点ですね。

一つ目の写真、表のロゴですが、”PROTECTING THOSE WHO PROTECTING US” とあり、我々を護る者たちを護る、といったような意味ですね。護るってのは当然、ミサイルやら敵の攻撃からで、軍備を狙った爆撃は当然起こり得ます。そんな時、これを着た人たちが颯爽と登場し、事態の沈静化にあたる。

そう考えますと、こんな普通のパーカーなんかではなく耐火性の特殊装備とかも持っているんじゃないかと推測しますが、一応普段着でも見分けられるようにパーカーを作ったのでしょうか。裏面のプリントの大きさは明らかに視認性を高めるためなので、納得できます。

イラクからはるばるヨーロッパへ、そしてまた、何度目の海をこいつは越えるのか。なんだか、さわやかな感情がわきあがってきます。


(裏面全体像はこんな感じです)

購入をお考えの方は、おそらく日本国内では起こらないとは思うのですが、着用時に救急隊と間違われないようにご注意ください。まあそのあたりは暗黙の了解という体で売りに出してますし、これを買ってしまう人はそんな瑣末な、些細な、宇宙の塵芥のごとくちっぽけなことはお気になさらないであろうと信じております。

イラクものは今まで6,7年程度に渡る古着屋探索で、結局この一件しか発見できていません。そんなレアな雰囲気を漂わせるこのパーカー、詳細につきましては下のリンクからBASE商品ページにてご確認くださいませ。